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「詩とメルヘン」…まさか、「あんぱん」の中でこの本に出会えるなんて思わなかった。

NHK朝の連ドラ「あんぱん」もいよいよ来週が最終週。食べるあんぱんを普及した話かと思いきや、アンパンマンの制作秘話だったようだ。

「本物のヒーローは格好よくてはいけない。悪者を拳銃で蹴散らして飛んでいってしまったら、そのあと残された人はどうするのか」「逆転しない正義とは何か」

このドラマを見るまでは、アンパンマンは食パンマンとかジャムパンマンとかと一緒に悪と戦う戦隊ものの子供向けアニメバージョンだと思っていた。横浜のみなとみらい地区にあるアンパンマンミュージアムには今も子供たちの長い行列ができる。でもこのドラマは、格好悪さの中にこそある真の正義といった、結構奥深い思いを込めていたのだ。

ところでドラマの中、やなせたかし編集長の背後においてある雑誌に気づいているだろうか。やなせ氏が長い間制作していた「詩とメルヘン」という投稿雑誌だ。1973年に創刊し、2003年8月に休刊となっている月刊誌で、実は大学生だった頃からの愛読書だった。今でも我が家にかつての「詩とメルヘン」たちがたくさん保管されている。

何度か詩の投稿を試みたが、唯一投稿がかなったのがこの2003年2月号。テーマとなるイラストが示されて、それに詩をつける「おりたたみ画廊」という企画に応募して選外の佳作になった。今から22年前…ということはまだ鍼灸師を目指す前、銀行員だった時代。忙しくて心が疲れた時など、この本に癒されたものだった。そしてこの本に、普段あまり見ることもない朝ドラの中で会えるなど、考えてもいなかった。懐かしさは極上のご馳走だ。

あの頃はもっと言葉を拾い集めるアンテナが立っていて、忙しい中でももっと感情が豊かだったようだ。

それにしてもアンパンマンが追い求めていた「逆転しない正義」って本当にあるんだろうか。

今は形を整えるコンプライアンスという偽の正義に世の中が振り回されている感じがしてならない。

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