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笑える力

笑うという行為にそのものに力があるわけではないんじゃないか。

よく考えてみると笑うためにはいろいろな必要条件があるのだ。倦怠期の夫婦生活に笑いを持ち込むのは大変だ。病気で具合の悪い人にとっても笑うということはかなり努力のいることである。笑えるためには、心も体も、そして生活にも、好奇心にあふれ、笑いを探すくらいの余裕が必要なのだ。

「笑いと治癒力」/ノーマンカズンズ(岩波現代文庫)

米国の医療ジャーナリストであるカズンズ氏が不治の病である自己免疫疾患「強直性脊椎症」を笑いで克服したという体験記である。笑いの前後で血沈の数値が5ポイントも低下し、この効果は持続的かつ累積的だったという。ただし、実は笑えば治るという論旨にはなっていない。「プラセボは軌跡の丸薬である」といい、「医師は最高のプラセボ」だという。つまり「病は気から」ということなのだ。これは別に「気のせい」であって実態のないものだというわけではない。気を損なうと病になるということだ。笑うというのは気が正常に機能しているという証左である。

この本の中でカズンズ氏は「医師は非科学的なことを否定すべきではないが、医師に非科学的なことを求めるべきではない」といっている。患者はもっと自分の病気や健康に関して医師任せにするのではなく、自分のこととして向き合い責任をもつべきだというのだ。

「死は人生の終極の悲劇ではない。終極の悲劇は非人間化だ。見知らぬ殺風景な場所に置かれ、愛情のこもった手にすがれる精神的慰籍からも引き離され、生き甲斐を味わう望みも絶たれ、希望を断ち切らて死ぬことだ」

ワンピース冬島編Dr.ヒルルクの名言を思った。「人はいつ死ぬと思う?心臓を銃で撃ち抜かれた時…違う。不治の病に侵された時…違う。猛毒のキノコのスープを飲んだ時…違う。…人に忘れられた時さ。」

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